うつ病の接し方>環境を無闇に変えないこと。ほとんど悪くなります。

うつ病の治療に当たっては、原則的に慣れ親しんだ環境で臨むことをおすすめします。
無闇な環境の変化や、転地療法の強制は、ほとんどの場合悪くなります。
もしどうしても必要に迫られた場合は、周囲の人たちが、例え悪くなってもその分を補助できる、
そして周囲の人間が投げ出さずに、最後まで寛解まで見捨てずに見届ける覚悟で行ってください。

言われるがまま環境を変えて実家に戻り、近所の体裁が悪くて患者さんが引きこもってしまって、
うつが悪化し、手に負えなくなった家族がまた一人暮らしを無理矢理させる、という
最悪のパターンを今まで何度も見てきました。ほとんどの場合、うつは悪化しています。
環境が言いか悪いか、それは引っ越してみないと分かりません。一般的によしとされている環境でも、
患者さんにとっては「これだけいい環境にいるのだから、よくならないといけないんだ」
という自責の念のきっかけになることもよくあります。
一般論が通じない、というのもうつ病の特徴です。

無闇な賭けに出るくらいなら、現状維持に努めましょう。
患者さん自身が、「現状が嫌」とはっきり意思表示している場合は、この限りではありません。